COLUMN
白ワインの軽やかな爽やかさ、なめらかなコクなど、繊細なニュアンスのとりこです。
Friday, 28 February 2025 | 著者MiiL

リョウです。白ワインは人生のさまざまな瞬間にそっと寄り添い、全てをより特別なものにしてくれる。
パワフルでドラマティックな赤ワインとは対照的に、白ワインはどこか軽やかで、ささやきかけてくれるような存在なのだ。だからといって、決して深みがないわけではない。むしろ、繊細なニュアンスに満ちた世界だといえる。
私が白ワインと出合ったのは留学先のニューヨーク。
学生時代の私にとってワインはあくまで脇役的な存在で、たまにパーティーで飲む程度のものだった。それも大抵安価で甘すぎる白ワインだった。当時の私の好みには甘すぎる白ワインは合わず、個性の乏しい、手軽な夏のドリンクに過ぎなかった。そんな白ワインのイメージが覆されたのは、イタリア旅行だった。
旅行中に飲んだピノ・グリの味わいに驚かされたのだ。口に含んだ後に長く続く余韻、そして明るい柑橘の香りとシャープな鉱物感、繊細な花のアロマが広がり、今まで私が白ワインだと思っていたものとは全くの別物だった。その瞬間こそが、私にとって広大で多様な白ワインの世界への入り口となったのだ。白ワインが全て甘ったるいわけではなく、多くの銘柄が非常に洗練され、力強く渋みのある赤ワインにも引けを取らない複雑さを秘めていることも分かった。そして、あの日から白ワインを探究することが私の使命となったのだ。あの時の一口で白ワインに対する見方が変わり、すでに数十年が経過した。私が白ワインの世界で発見したのは、軽やかで爽やかなものから、濃厚でバターのような質感を持つものまで、その繊細な味わいの中に驚きや高揚感を楽しめるのだ。
5年前、故郷の茨城に戻った私は白ワインの魅力を探究の旅が続けられないのではないかと不安になっていた。料理に情熱を注ぐ私にとって、ぴったりのワインを見つける瞬間は魔法のような何かを感じるのと同じなのだ。
MiiLのシャルドネは、スパイシーなアクセントが効いたバランスの良さが光る、希少な逸品だ。複雑でダイナミックな味わいが絶妙に絡み合っている。最初の一口からシャキッとした青リンゴのような酸味が主役を張り、口の中を爽やかで食欲をそそる明るさで満たしてくれる。そのキリっとした酸味は、熟したメロンのようなほのかなニュアンスによって美しく引き立てられている。
しかし、最も興味深いのはシャルドネの繊細さが、料理のホワイトペッパーのほのかなアクセントとジンジャーのかすかな風味と絡み合い、シャープな印象に複雑さと温かみをプラスしてくれるのだ。美しく鮮やかな口当たりと、中程度のボディは絶妙な重みを感じさせてくれるので、グリルしたシーフードやローストチキン、スパイスが効いたアジア料理など、さまざまな料理との相性抜群なのだ。このMiiLのシャルドネはクラシックな品種でありながら、新鮮で刺激的なアプローチを加えた試すべきワインの一つだと言える。